日本酒

「悠峰 17年」悠久の時が醸す、熟成酒の新しい肖像

熟成酒は、酒の世界でも一際個性が際立つ存在だ。だが今回、オンライン酒屋クランドが抽選販売を開始する「悠峰 17年(ユウホウ ジュウナナネン)」は、その認識を根底から覆す。17年という長い歳月の先に、誰の舌にも届く透明感——それは、時と技が融合した“芸術”のような酒である。

熟成という挑戦に、一本筋を通した酒蔵の矜持


「悠峰 17年」を手がけたのは、石川県金沢市にある老舗酒蔵・福光屋。寛永2年(1625年)創業という歴史を誇り、1960年代より契約栽培米を導入。“純米蔵”として日本で初めて大規模生産に挑んだ革新性は今でも健在だ。

1959年からは本格的に熟成酒への試みを始め、環境・原材料・管理手法のすべてを磨き続けてきた。その集大成といえるのが、この「悠峰 17年」だ。

口中を満たす香りと奥行き、そしてキレ


「悠峰 17年」は、香り立つ瞬間からただものではない。カラメル、ドライいちじく、バニラ、ナッツ。そして静かに香る吟醸香が層を作り、まるで香りが時間を語っているようだ。

味わいはとろけるような甘みから始まり、苦味とアルコールが静かに追ってくる。重さがあるのに重くない、不思議な透明感が印象的。常温ではまろやかさが際立ち、ぬる燗では香ばしく引き締まる──温度による官能の変化も、この酒の演出のひとつと言える。

精緻に積み上げられた原材料のクオリティ


原料米には、酒米の王・山田錦を100%使用。その発祥地である兵庫県多可町中区の契約農家による栽培で、クオリティは折り紙付き。精米歩合は65%、日本酒度は−24.5と極甘口寄りながら、酸度2.8の数字が示すとおり、ただ甘いだけではない複雑さが混じり合っている。

アルコール度数は18%とやや高めだが、それゆえの“骨格”が味にしっかりと含まれ、飲み進めるうちに風味の奥行きを感じさせてくれる。

熟成酒とは何か。そして「悠峰 17年」がなぜ異色か

熟成酒の定義と一般的な印象

基本的に熟成酒とは、長期熟成されることで味や香りに劇的な変化をもたらす日本酒の一種。カラメル香やコク、酸味などが強調される傾向があり、瓶内で“時”が味を作る存在でもあるため、やや“通好み”とされてきた。

「悠峰 17年」の異端性

「悠峰 17年」はこの“通好み”という壁を打ち壊す。甘味・酸味・苦味・キレを巧みに設計し、誰の舌にも届くバランスを実現している。その丁寧な狙いが、味覚のストライクゾーンを驚くほど広くしている。

ペアリングが奏でる味覚のアンサンブル

この酒の香りと重厚感は、食事との共演にも卓越する。おすすめは以下のような組み合わせだ:

  • ブルーチーズやハードチーズといった発酵系乳製品
  • 鴨ローストなど、しっかりとした旨味のある肉料理
  • 味噌ベースの煮物や赤ワイン煮など甘辛料理
  • ナッツやセミドライフルーツ

口内で酒と食が重なった時の“新しい発見”は、ペアリングという言葉の本質を知る瞬間かもしれない。

入手は抽選販売のみ。申し込みは特設サイトから


「悠峰 17年」は数量限定の抽選販売であるため、手に入れるには申し込みが必要だ。抽選受付期間は2025年5月30日(金)17:00〜6月13日(金)13:00。当選者には6月13日(金)以降に個別連絡が入り、配送は2025年7月下旬より順次始まる。

価格は19,800円(税込)、内容量は720mlとまさに贅沢そのもの。詳細および申し込みは、以下の特設サイトから確認できる。

商品ページはこちら

熟成酒の新たな境地へ

「悠峰 17年」は、熟成酒という枠を超えた、新しい日本酒体験への入口だ。時間が育て、蔵人の哲学が形にしたその一滴は、思わず語りたくなる余韻を残す。エントリーレベルの好奇心も、長年の酒ラヴァーの舌も、すべてを静かに包み込むような懐の深さがある。この瞬間しかない一本と出会う、そんな酒旅に出かけてみてはいかがだろうか。

この記事を書いた人

J.S.A Wine Expert / Sake Diploma。酒の香りにとことん弱い。都市とローカルを往復しながら、その土地の一杯に耳をすませている。これまでに開催したワイン会・日本酒会では、のべ5000人以上に酒を注いできた。抹茶の世界にも、静かに足を踏み入れはじめたところ。飲んだ先に広がる世界を求めて、今日も一杯、のち一文。

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