ワインの世界に「香り」という新紀元を開いた一本がある。それが、2004年に登場した「シャトー・メルシャン 甲州きいろ香」だ。そして今年、その偉業が20年の節目を迎え、特別なキュヴェが誕生した。柑橘の香りが解き放たれたあの日に捧げる、静かで情熱的なオマージュが、この6月、グラスの中にそっと注がれる。
20年の節目に誕生したスペシャル・キュヴェ
「シャトー・メルシャン 甲州きいろ香 アン・オマージュ・ア・タカ 2024」は、2004年の原点とその意義に立ち返った一本。香りの研究に尽力した故・富永敬俊博士への敬意を込めたオマージュだ。グレープフルーツやスダチ、カボスといった和柑橘の香りが織りなす、清々しくも哲学的な白ワインとなっている。
発売は2025年6月17日(火)からだが、「WINE&DOORS」やワイナリーでは先行販売が始まっている。公式通販ページはこちら
“香りの甲州”を世界へと導いた第一歩
「甲州きいろ香」が登場した2004年、甲州ワインはまだ“酸味も香りも乏しい”との烙印を押されていた。そこに風穴をあけたのがメルシャンの「甲州プロジェクト」だ。ボルドー第二大学との共同研究で発見された柑橘香を構造化、醸造技術と科学の力で引き出し、「香りの甲州」という新たなアイデンティティを世界に提示した。
ボトルに込められた“サイエンスとポエム”
限定ボトルのデザインも秀逸だ。富永博士をモデルにした絵本『いとしい小鳥 きいろ』の挿絵を採用し、彼の残したメッセージをラベルに記録。“科学と詩の融合”を象徴する仕上がりで、ワイン愛好家ならずとも手に取りたくなる美しさがある。
また本作は酸味と柑橘香のバランスに焦点をあて、キュヴェ醸造ならではの繊細な香り設計が光る。「香りをめぐる冒険」は、未だ終わっていなかったと実感させてくれる。
パッケージ概要
- 商品名:シャトー・メルシャン 甲州きいろ香 アン・オマージュ・ア・タカ 2024
- 色:白
- アルコール度数:11.5%
- 容量:750ml
- 発売時期:2025年6月17日(飲食店/通販)、2025年6月8日(先行)
- 発売場所:WINE&DOORS・シャトー・メルシャンのワイナリー
- 価格:オープン価格
ワイン界が認めた「香りの甲州」の実力
2025年の「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」(IWC)でも、“香りの甲州”は卓越した成果を残した。特に「岩出甲州きいろ香 キュヴェ・ウエノ 2023」が日本ワインとして史上初となるトロフィー(最高賞)を獲得。この品種の革新性と成長ポテンシャルが、いま世界の注目を集めている。
IWC 2025での受賞ワイン一覧
- 金賞・トロフィー:「岩出甲州きいろ香 キュヴェ・ウエノ 2023」
- 金賞:「椀子オムニス 2018」
- 銀賞:「北信右岸シャルドネ リヴァリス 2023」など4品
- 銅賞:「新鶴シャルドネ 2021」など3品
- 奨励賞:「片丘ヴィンヤード 2019」など3品
「シャトー・メルシャン」が育む文化的土壌
シャトー・メルシャンは、メルシャン株式会社が展開する日本を代表するワイナリーブランド。長野や山梨などに自社畑を持ち、原産地のテロワールと科学的知見を融合させた独自のワイン造りが特徴だ。ヴィンヤード単位でそれぞれの個性を追求する姿勢は、今や世界的にも注目されている。
“柑橘香”という可能性
香りの構成要素としての「柑橘香」は、甲州ワインの命といっていい。特にグレープフルーツ、スダチ、カボスなどの香り成分は、発酵や収穫時期の工夫によって繊細に引き出される。これは、単に「香りがする」というレベルではなく、“風景を見せる香り”なのだ。香りは記憶を呼び起こす。このワインが呼び起こすのは、おそらく日本の四季と陽光の記憶。
日本ワインを牽引する一本を体感したい
ワインは飲むたびに記憶を編み直す。20年前の実験精神がいま、香りとして咲いている。「甲州きいろ香 アン・オマージュ・ア・タカ 2024」はその象徴だ。この一本を知ることで、ワインという文化が持つ“語る力”に触れられるはず。知識ではなく、感覚で味わってほしい。未来のワインはすでに、日本の畑から始まっている。