新潟・津南町の小さな酒蔵が、大舞台でその存在感を見せつけた。津南醸造の「郷(GO)DINER」が、世界最大級のワイン品評会IWC2025、純米大吟醸部門でゴールドメダルを獲得したというニュースが駆けめぐった。豪雪地の自然が育んだその1本は、ただの日本酒ではない。日常をモダンに彩る、新しい“旅の相棒”だ。
ロンドンが認めた、日本の「食中」SAKE
IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)はワイン業界きっての世界的品評会。そのSAKE部門において「郷 DINER」は、純米大吟醸部門で金賞を獲得した。審査はブラインド・テイスティング形式で、18カ国70名の评者が個々の味を見極めたという。
芳醇なのに軽やか、香り高く繊細。それでいて食事を引き立てるバランス感が受賞の鍵だった。「郷 DINER」は、食中酒という日本酒の原点に立ち返りつつ、新しい表現をまとっている。
津南という“奇跡の土地”が造る、柔らかな味わい
「郷 DINER」の旨味を支えるのは、雪解け水から生まれる軟水仕込み。津南町は日本屈指の豪雪地。標高2,000m級の山々に囲まれ、春になるとその雪は静かに溶け、田畑にも蔵にも命を与える。
酒米には「五百万石」や「魚沼産コシヒカリ」といった新潟が誇る酒米を使用。津南醸造の思想は「自然との共生」。その理念が、このやさしい味わいを裏付けている。
モダンな飲み方を提案する“GO”シリーズ
「郷 DINER」は、“旅と食事をともにするSAKE”として誕生した。だから、ただ美味しいだけじゃない。持ち運びやすく、気軽に楽しめる設計が魅力的だ。
商品ラインナップ
- GO PINボトル DINER(180ml)
- GO POCKET DINER(100mlパウチ)
- GO DINER(720ml 4合瓶)
たとえば旅先の景色とつまみで一杯。ベランダで風に吹かれ、ひとり晩酌。そんなシーンにぴたりとはまる。「郷 DINER」は、日本酒の暮らしにおける再翻訳なのかもしれない。
津南醸造とは何者か?
津南醸造株式会社は、新潟県津南町に拠点を構える小さな独立系酒蔵。創業年などは明らかにされていないが、注目すべきはそのコンセプト。“Brew for Future〜共生する未来を醸造する〜”と掲げる彼らは、地域資源と向き合いながら新たな価値を模索している。
2025年には「越後流酒造技術選手権大会」で新潟県知事賞(第1位)も獲得。革新と伝統、その両方を同時に引き受ける姿勢が、今の「郷 DINER」を誕生させたといえる。
世界に開かれた、日本酒の次のページ
今回の受賞は、海外における日本酒認知の広がりを象徴する。IWCのようなフォーラムで評価されることで、地方蔵の味がグローバルな文脈に乗る。それは「小さな蔵の酒が、地球規模の食卓に届く」という未来の兆しだ。
この「郷 DINER」も、単に輸出するのではなく“日本酒のある風景を持ち込む”という、新しい文化輸送を体現している。
GOシリーズの今後に期待
津南醸造は、今後さまざまな機会を通じて「郷 DINER」を広めていく計画だという。角打ちイベントやメタバース展示会への出展、さらにはシンガポールや台湾の文化フェスティバルへの進出など、熱量が高い。
伝統的な酒にモダンな装いを施し、自然とテクノロジーを往還する造り手たち。「郷 DINER」は、次の飲料カルチャーの起点を担う存在となるかもしれない。
新しい日本酒を体感する
「郷 DINER」に触れることは、日本酒を“知る”よりも“感じる”行為に近い。それは山から溢れる雪解け水が、静かに体を潤すような感覚。日常の食卓、旅の空、誰かと語らう夜—そのどこに置いても、この酒は派手さより静かな余韻を残してくれる。
新しい酒の地図を描きたい読者へ。まずは、一本。ポケットに忍ばせてみてほしい。